ミステリーゾーン

2008年1月24日 (木)

凍る水曜日

昨日は朝から雪となった。昼、職場に一本の電話。役員の親戚を名乗るS氏から。年輩の女性のようだ。語尾に訛りがあった。ここ数日、全く連絡が取れないのだが消息を知らないか、と。知らない旨を告げると電話は切れた。高齢ながら一人暮らしをしている役員。個人的にも世話になっている。携帯にかけてみる。通じない。留守番にメッセージをいれた。胸騒ぎがした。仕事帰りに自宅に寄ってみた。電気がついているのを確認したらそのまま帰るつもりでいた。着いた。灯りは、ない。電気のメーターと郵便受けを確認する。いないようだ。数日分の新聞紙。広い敷地の裏手に回る。念のため同行させていた秘書の女性が小さな悲鳴をあげた。鳩の死骸だった。不吉な予感。雨戸がしまっていたので、何処かにでかけた可能性もあるか、いや、雪の日に、足腰の弱った人間がわざわざ外にでるだろうか。心のなかで呟きながら、駅へ向かった。交番が目に入る。一応、巡回の際にでも気にしてもらえるかもしれない、と立ち寄った。警官は調べる。一通り事情を聞くとどこかへ電話をかけはじめた。でてください、と身振りで警官が合図。相手はわからない。親族の方だろうか。名前を聞いても教えてくれない。事情を手短に話し、相手の男に無事なのかを尋ねた。無事だが、今、病院にいるという。病院の名前を尋ねた。しかし、遮るように、相手が聞き返してきた。『確かに親戚のSと名乗る女性から電話があったのか』年輩の女性であったこと、訛りがあったことを伝えると、電話の向こうで、沈黙の後、『Sは先月死にました。貴方は誰なのですか』と震える声が聞こえた。相手は怯えているようだった。私を不審者だと思ったのだろう。無理もない。私も驚きを隠せなかった。職場に連絡をいれ、事の次第を報告した。そして同僚に私の電話の着信履歴を確認するよう頼んだ。返事があった。『それらしいナンバー、ないんですけど』そして話しの途中で電池が切れた。私は携帯を持ったまま、舞う粉雪を呆然と見つめていた。

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